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絵本やイベント情報についてご紹介します。

ペク・ヒナ×長谷川義史トークイベントレポート②

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  長谷川さんは、『あめだま』を翻訳されていかがでしたか?

 

長谷川 翻訳は他の作品でも何冊かやらせていただいているのですが、

自分の勝手な表現や言葉は、なるべく使わないよう注意しています。

関西弁ではありますが、余計な表現はしないよう、

僕なりに気をつかって言葉を探しました。

 

  関西弁は、じつは活字にすると、標準語に近い言葉なんですよね。

 

長谷川 そうなんですよね。だから関西じゃない方がイメージする

関西弁というのは、ふだん僕たちはあまり使っていなくて、

字にしたら(標準語と)ほとんど一緒です。イントネーションが違うだけで、

関西弁に聞こえたり聞こえなかったりするので、

わざとらしい関西弁は使わないようにしているつもりです。

 

  とくに『あめだま』は現代が舞台なので、今っぽさを表現すると、

(標準語と)ほとんど変わらないですよね。

 

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長谷川 『天女銭湯』は、僕にとってペク・ヒナさんの絵本の

初めての翻訳でしたので、いくつかの訳文に対して、

「この言葉は絵を見たらわかりますから、韓国語でも使って

いないので、日本語でもその言葉は使わないでください」

と的確な答えが返ってきました。そのとき、ビジュアルにも言葉にも、

隙なくこだわってつくられている絵本なのだなと感じました。

 

  ペク・ヒナさんのお父様が日本語をよくご存じでしたので、

そういったご指摘をいただきました。一方で、

大阪弁にしたことで、原作よりあたたかなよい効果が出た」

と言われたときは、すごく嬉しかったですね。

 

長谷川 ぼくは韓国語がわからないので、お父さんがていねいに

日本語をチェックしてくれたことは、本当にありがたかったです。

 

  この本の最後のせりふ「ぼくと いっしょに あそべへん?」は

名訳ですよね !  この訳がきたときに、もう、感動しました。

 

長谷川 「ぼくと いっしょに あそぼ」とは言えない子なんですよね。

ペク・ヒナさんが描きたかった内気な男の子は、

こんなふうに、断られてもいいような聞き方をする。

保険をかけているんですね。

僕には3人の男の子がいるのですが、一番下の子がこのタイプなんです。

たから、こういう言い方をするやろなと思いました。

 

 

(つづく)

 

ペク・ヒナ×長谷川義史トークイベントレポート①

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韓国と日本を代表する絵本作家のコラボ『あめだま』の発刊を記念して、

ペク・ヒナさんと長谷川義史さんのトークが実現しました。

ペク・ヒナさんによる韓国語の読み聞かせ、

つづいて長谷川義史さんによる日本語の読み聞かせで、

トークがスタートしました。

 

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  ペク・ヒナさんは、実際に撮影した人形を持って来日してくれました。

人形絵本の作家として、人形づくりにはじまって、セット、洋服と小物、照明、

そして撮影までを、ぜんぶひとりでつくられるという、世界でも特殊な絵本づくりですね。どのようにして、制作されているのですか。

 

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ペク・ヒナ これはダミーブックとよばれるもので、最初に、

全体のストーリーを、ほぼファイナル(完本)に近いかたちでつくります。

可能な限り最終形で表現したいスタイルや雰囲気を

ダミーブックにこめます。長い制作期間のなかで、

道を外さないための地図のような役割を果たしてくれます。

 

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この本をつくっている当時は、息子が小学2年生。

彼は私と似て、人とコミュニケーションをとるのが苦手で、

友だちをつくるのが得意ではありませんでした。

母親として子どもに、生活面や教育環境はサポートできても、

友だちづくりまで助けることはできません。

そのことに、私はとても胸を痛めていました。

そんな母親としての想いが、『あめだま』にはつまっています。

ですので、主人公のドンドンが着ている服も、

当時息子が着ていた服と同じデザインです。

当初、この少年をデザインしたときは、

もっと目が大きな子どもだったのですが、

感情表現が苦手な子ですので、性格に合わせて

目も口も小さくなっていって、

耳も髪でかくしているようなキャラクターになりました。

 

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父親のめがねを白く曇らせたのも、

父親も少年と同じく、コミュニケーションが得意でないことを

表したかったからです。

だからは、彼の目が見られないようにしました。

 


絵本『あめだま』メイキングムービー

 

ペク・ヒナ 人形を置いて、小道具をそろえ、照明を当て、

さまざまなテストショットを何枚も何枚も撮影します。

作業は大変ですが、完成が近づくにつれ、

まるでそのシーンが生きているように見えてくるのは、

本当に楽しいものです。

 

 

  『あめだま』1冊をつくるのに、どれくらいかかりましたか?

 

ペク・ヒナ  このお話は、昔考えたストーリーをもとにして

絵本につくり直しているので、そのストーリーがあったことを

前提として考えると、完成(入稿)まで10カ月かかりました。

 

  これだけの制作を10カ月で! すごい集中力ですね。

 

ペク・ヒナ 私はもともと短期間で全力疾走して早く終わらせる

タイプなのですが、子どもを2人育てていたので、

ラソン選手のペースで作業をせざるをえませんでした。

作業の合間に子育てという現実に引き戻されて、

また作業に戻るという生活だったので、大変でした。

 

  一番時間がかかったのは、どのシーンですか?

 

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ペク・ヒナ 落ち葉のシーンには、こだわりました。

落ち葉はパンチを使って1枚1枚手作業でつくっていますし、

秋のこもれびを表現するために、照明にこだわって制作しました。

このシーンは人口照明を使って、カーテンを締め切ったなかで

撮影しているため、何度でも撮り直しがききましたが、

 

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こちらのシーンは、どうしても自然光で撮りたかったので、

朝の光が差しこむ瞬間に撮影しています。

太陽が動くので、早く作業しなければならず、

撮影するのに苦労しました。

 

 

(続く)

 

みやこしあきこさん『ぼくのたび』完成とメイキング動画。

ひんやり晴れた、気持ちのよい秋のある日。
『ぼくのたび』の見本が無事にあがってきました。

ほうっと息つく、特別な朝。


朝のオフィスで、製本所から届いた茶紙の梱包を解き、
できたやほやほやの本をひらいて、
誤植がないか、不良箇所がないか、息をつめて検品します。
この瞬間は、編集者の方はみなさんご存知の、
緊迫感漂う恐怖のひとときではないでしょうか。
無事検品が済むと、安堵感と嬉しさがじわじわとこみあげます。


そこから先はご褒美のような時間。
著者のみやこしあきこさんに、できあがった本を直接お渡しして、
美しい絵本がうまれたことを喜びあいます。


最高の絵本になりましたね。


ブックデザインをして下さった
デザイナーの坂川朱音さんの事務所にも出かけていき、
直接絵本をお届けして、美しい絵本がうまれたことを喜びあいます。
本が誕生する瞬間は、何度経験してもその度にうれしいもの。
秋に生まれた『ぼくのたび』、
これからたくさんのすてきな読者にめぐりあえますように。


刊行に先駆けて、オールリトグラフによる、
この美しい絵本が誕生するまでを丹念にカメラで追った、
メイキング動画を公開しています。
みやこしさんの指先から、魔法のように美しい絵が、
紡ぎだされていく様子は必見です。
絵本の制作過程に興味がある方も、ぜひご覧ください。
なんど見てもため息で、わたしは中毒のように、
ほとんど毎日繰り返し見ています。


◎『ぼくのたびーーリトグラフによる絵本の原画ができるまで』
www.youtube.com



みやこしあきこさん最新作『ぼくのたび』は、
11月7日頃から、全国の本屋さんに並びだす予定です。
みなさま、どうぞたのしみにお待ちくださいね。


メイキング動画を店頭で流して展開したいという書店さんがいらしたら、
ブロンズ新社営業部まで、ぜひご連絡くださいませ。


(編集部・沖本)

ジミー・リャオの最新作『おなじ月をみて』

台湾の国民的絵本作家で、
世界中で出版されてきたジミー・リャオさんの
作家生活20周年を記念して描き下ろされた、会心作です。
2018年3月のボローニア・ブックフェアは「中国年」。
台湾の特別ブースで、ひときわ光をはなっていたのが、本書でした。
一読して心を奪われました。
フェアに参加していたジミーさん本人と運よく会うことができ、
日本で発行する契約にこぎつけました。



少年ハンハンは、窓辺に立って、ひたすら待っています。
現れたのは、ライオン。ハンハンの家にまっしぐらにやってきます。
前足にくぎのささったライオンを、ハンハンは、やさしくてあてをします。


さらに、窓辺で待ちつづけるハンハン。
キバをきりとられたゾウ、つばさに矢がささったツル…
傷ついた動物たちが、次つぎやってきます。
夜空にうかぶ月は、三日月から半月、満月へと。
ハンハンは、だれを待っているのでしょう。



たんたんと繰り返される心地よいリズムのあとに、
衝撃的なシーンが待っています。
絵本の可能性を広げてくれたすばらしい一冊。
ジミーさんの心からのメッセージが込められています。
書店でぜひ、お手にとって、ご覧ください。


▼『おなじ月をみて』のプロモーションビデオ
https://youtu.be/_-uBzLCSaiA



若月

みやこしあきこさん『ぼくのたび』ついに校了。

以前こちらで、ご紹介した、
みやこしあきこさんの最新刊『ぼくのたび』が、
いよいよ明日印刷になります。


明日の印刷立ち会いが終われば、
絵本は編集現場の手を離れて旅立って、
あとは、各現場のみなさんによくしていただきつつ、
無事、読者のみなさまのお手元に届くのを祈るばかり。


「常に次の旅の予定を考えている」と言われるほど、旅が好きで、
世界のいろいろな場所を旅してこられたみやこしさんが、
長年あたためてきた「旅」をテーマに描きおろし、
ついに形となった『ぼくのたび』。
オールリトグラフで制作された、息をのむほどうつくしい絵本です。


ストーリー、登場人物。なんどもなんども変更を繰り返した、絵本の台割


これはその、ほんの一部。


だれもが旅先で感じたことのある、
異国で感じる特有の感覚や、はじめての場所に漂う心許ない気配が、
ページをめくるたびに呼びおこされる、
記憶装置のような絵本だとわたしは思います。


ストーリーの着想のもととなる、アイデアスケッチ。


「これで、ひとつ、家にいながらにして、旅の感覚を呼び起こせる、
 世にもうつくしい絵本がわたしの手元に確保できた、ああよかった」と
明日の立ち会い印刷を前に、わたしはほっとしています。
この本の魅力を少しでも早くお伝えするべく、
先行して、すてきなプロモーション動画が完成しました。


◎『ぼくのたび』プロモーション動画
https://youtu.be/m49IrBMV4x0


絵本の魅力が、やさしく、しずかに伝わってきます。
週のまんなか、あわただしく、いそがしい水曜日。
少しだけお仕事の手をとめて、ご覧いただければうれしいです。


(編集部 沖本)

ブックハウスカフェ『クマと少年』原画展 & あべ弘士さんおはなし会

今年5月に発売となった、あべ弘士さんの新刊『クマと少年』の原画展を
神保町のこどもの本専門店 & カフェ「ブックハウスカフェ」様にて開催いたします。
北海道に生まれ、旭山動物園の飼育員として動物たちと向き合ってきたあべさんが、
40年思い巡らせてきた山の神クマとアイヌの少年をめぐる壮大な命の物語。
迫力のある原画をぜひご覧ください。


会期中には、あべさんのおはなし会も開催いたします。
下記お申し込み方法をご確認いただき、ぜひお越しくださいませ。



◇『クマと少年』原画展
【会期】2018年10月25日(木)〜11月6日(火)会期中無休
営業時間:平日 11:00〜23:00 (土日祝は〜19:00)
※貸切などで一時的にご覧いただけない時間帯がある場合があります。
予めご了承ください。事前にお電話などでご確認いただけますと確実にご案内できます。
【会場】ブックハウスカフェ 左奥の個室
【入場料】無料


◇あべさんおはなし会
【日時】2018年10月29日(月)19:00〜
(18:30開場・終了後サイン会)
※サイン対象本は、当日ブックハウスカフェでご購入いただきました
あべ弘士さんの著作に限らせていただきます。
【会場】ブックハウスカフェ 
【参加費】1,000円 
【お申込方法】メール、お電話、店頭のいずれかでお申込みください。
TEL : 03-6261-6177
メールアドレス:yoyaku@bookhousecafe.jp

※メールでご予約の際は必ず、件名に「10/29 あべ弘士さんイベント」として、
本文に「お名前フルネーム(よみがな)・お電話番号・ご参加人数(大人/子ども)」をお知らせください。
※ブックハウスカフェより参加チケットの入手方法をご返信いたしますので、
必ず返信のメールを受け取れるように設定お願いいたします。

8月新刊『あめだま』試し読み&感想 大募集!



韓国人気NO.1作家であるペク・ヒナさんの新刊『あめだま』の
発売前のゲラを読んで、作品を応援してくださる書店員さまを大募集します!


天女銭湯』『天女かあさん』では、精緻でありながらインパクトのある人形を、
自ら製作・撮影して絵本にするという独特の技法と、心温まるストーリーで、
日本国内でも人気を博しているペク・ヒナさん。
『天女銭湯』『天女かあさん』メイキングムービー


韓国では、発売から1年で10万部を超えるヒットとなった『あめだま』が、
8月にいよいよ弊社より発売となります。
2018年には、国際児童図書評議会IBBY)より、IBBY オナーリストを授与されました。
これは、自国に留まらず、世界に広めたい優れた作品に対し表彰されるものです。
人形たちの表情やセット、小道具、そして撮影ではライティングに至るまで、
こだわりぬいた圧巻の作品です。
葉っぱ1枚1枚まで作りこんだ美しい情景には鳥肌が立ちました。

ペク・ヒナさん


そして何より、『あめだま』最大の魅力は、絵本の王道ともいうべきストーリーにあります。
物語の冒頭では少し寂し気な様子の少年ドンドン。
しかし、その世界には優しさが溢れており、読み終わった後には、
子どもも大人も勇気が貰えるような、素晴らしい作品です。
『天女かあさん』出版後にアイディアが閃いたという本作では、ラフを書きながら、
著者自身、2度、3度大泣きしたそうです。


そこに、『天女銭湯』『天女かあさん』以来、
3度目のタッグとなる長谷川義史さんが、関西弁のあたたかい訳と、
味わいのある手描き文字で参加してくださいました。


さて、前置きが長くなりましたが、私はこの作品を、
1人でも多くの方に届けたいと思っています。
そのために書店の皆様のお力をお貸しいただきたく、発売前のゲラを読んで、
『あめだま』を応援してくださる書店員さまを大募集します!



【ゲラお申込み方法】
下記項目をご明記いただき、ブロンズ新社営業部までメール(webmaster@bronze.co.jp)にてご連絡くださいませ。
郵送にて、『あめだま』のゲラをお送りさせていただきます。
・書店名
・ご担当者様名
・電話番号
・書店ご住所
ぜひご一読の上、感想をお寄せ下さい!
お申込み締切:7月20日(金)


【お礼】
お申込みいただいた書店様には、優先的に拡材をご提供致します。
また、ブロンズ新社メッセージカードセットをプレゼント!販促にぜひご活用くださいませ。


【ご注意】
・お送りいただいた感想は、一部抜粋・編集し、web並びに書店店頭での拡材に使用させていただく場合がございます。
・お送りするゲラは、発売される書籍と一部内容に変更・修正が入る場合がございます。
また、無断複製(転用・転載)はご遠慮いただいております。
・今回の募集は、書店に限定させていただきます。一般の方はお申込みいただけませんので、ご了承くださいませ。


(営業部 橋本)