ブロンズ新社公式ブログ

絵本やイベント情報についてご紹介します。

「マイブリッジの糸」

『くるくるくるよ おすしがくるよ』で
めくるめくナンセンスお寿司ワールドを描ききってくださった
山村浩二さん。





実はこの作品と並行して進んでいたのが
7年越しの最新短編アニメーション「マイブリッジの糸」でした。
短編アニメーションの殿堂、カナダ国立映画製作庁(National Film Board of Canada)通称NFBとの共同企画です。
NFBの作品に多大な影響をうけたという山村さん、
昨年末一ヶ月、カナダに渡り、NFBの中で作品を完成させました。

待ちに待った試写会が先日カナダ大使館で行われ、行って参りました。



会場は満席。
静かな期待感に満ちた興奮に包まれています。
配られた資料を開いてみると。。




素敵。


共同制作なさったポリゴン・ピクチュアズの方のご挨拶や、
NFBからのメッセージなどが流れた後、
いよいよ、試写のスタートです。


イギリス出身の写真家エドワード・マイブリッジ…
馬の足の運びを捉えた連続写真はみなさんご覧になったことが
あるのではないでしょうか。
はじめて連続写真で「動き」を捉えた、マイブリッジの作品は
今でも、アニメーション作家たちの作画の教科書になっているといいます。
彼の波瀾万丈の人生、がモチーフのひとつ。



そして、もうひとつのモチーフは「母と娘」の物語。


これについて、山村さんから以前お話を聞いたことがあります。
ごく小さな子どもを自分の手の中で育てるという特別な時間は、
実はとても短い。
ただ過ぎてみると
それがかけがえのない時間だったことに気づく・・
二人のお子さんが大きくなって、
奥様とふたりそんなことを話した時間が、
このもうひとつのモチーフにつながっているそうです。



このふたつのモチーフが中心となって
まぶたの裏の遠い記憶のような、
山村さん独特の密度を持ったアニメーションが
重ねられていきます。


背景に流れる音楽は、
最初から読んでも、最後から読んでも同じ音楽になる
回文のような楽曲、「蟹のカノン」。
音楽はフレデリック・バック『木を植えた男』など、
数々の名作アニメーションに関わってきたカナダの巨匠ノルマン・ロジェ。


13 分の時間は、
ここでないどこかに行き、
違った時空で時を感じる旅のよう。



山村さんの対談を挟んで2回上映されたアニメーションの余韻を
街に溢れる広告映像や騒音にかき消されないように
そっとそっと運んで、
その夜はゆっくり反芻を楽しみました。



2011年秋、東京都写真美術館にて公開!
みなさまどうぞお楽しみに・・・


担当編集 Y