6月23日の沖縄慰霊の日、8月15日の終戦記念日と、かつての大きな戦争について見聞きすることが増える季節です。このたび、この季節におすすめしたい「平和をかんがえる絵本」を集めました。
『へいわとせんそう』(たにかわしゅんたろう 文/Noritake 絵)
見開きごとに見比べる、「へいわ」と「せんそう」。シンプルな構成のなかに、みなさんはどんなメッセージを受け取りますか?
本作については、多数の推薦コメントをいただいています。
『へいわとせんそう』は、9歳の息子にも、43歳の私にも、とても必要な絵本です。究極のミニマルでありながら、すべての大切なことを表しているから。
(内田也哉子 文筆家)
シンプルだけど、頭の中を刺激される良い本です。
(石川直樹 写真家)
平和とは何なのか、谷川さんの言葉とNoritakeさんの絵がひとつになり、こんなにも、優しく、易しく教えてくれた本は初めてです。最終ページ、みかたもてきも同じ赤ちゃん、の対比にも感動しました。白地に黒一色という簡潔な構成、装丁がさらに様々なことを思わせてくれます。
コメントやメッセージなどの主観はいっさい排除されて、ただ「事実」がそこに提示されているだけの単純な構成。軽いけど、とても重たい一冊なのです。
(澤田康彦 暮しの手帖編集長) *暮しの手帖 2019年初夏号 書評より
この絵本は理屈抜きに直球で心に訴えてくれる。むずかしいことは何一つ書かれていない。
最後に頬笑みと心に決意のような灯火をつけてくれる絵本だ
(一青窈 歌手)*2019年4月14日(日)付読売新聞書評より
(戦争とは)こうなる・こう変わるといった客観的事実を提示されることが、自分事として受け止められる気がします。これから先、10年・20年と戦争経験者がいなくなる未来に残していくべき絵本だと思います。 (花田優子 紀伊國屋書店横浜店)
後半に、ラストに、なんだかほっとする。ほっとして、なにげない、日々の暮らしの平和さに感謝したくなる。この本をたくさん売ること。たくさんの人の手に渡すこと。本屋としてうれしいうれしい一冊が出たのだ。 (増田喜昭 子どもの本専門店メリーゴーランド)
いい本ですね。Noritakeさんの線とこだわった紙の醸し出す印象が、この本を丁寧に見させることにつながっていると思いました。本づくりもいい。エンディングに向かう、よる、くも、の二見開きが秀逸。エンディングの効果を引き立てています。
(松本猛 ちひろ美術館常任顧問)
**敬称略 五十音順**
当時小学1年生だった安里有生くんが書いた詩に、絵本作家の長谷川義史さんが絵を添えた本作。2013年の「沖縄全戦没者追悼式」での朗読の様子は、大きな話題となりました。安里くんの素直な言葉は、当たり前の日常のかけがえのなさについて気づかせてくれます。長谷川さんののびやかな絵とともに、お楽しみください。
本作は、台湾から届いた平和への祈り。窓の外を見て、ずっと誰かを待っている少年のもとにやってくる、傷ついた動物たち。心優しい少年と動物たちのおだやかな交流に心がほっとしながらも、後半に提示される鮮烈なメッセージから、忘れられない1冊となるはずです。
明日15日は終戦記念日です。
今回ご紹介した絵本が、先の戦争や平和について考えるきっかけとなりますよう。