ブロンズ新社公式ブログ

絵本やイベント情報についてご紹介します。

森のくまさんに逢いにいく

某月某日


東京は広尾、
緑あふれる有栖川公園の脇を
ひたひたと歩いて行く私、編集担当。


さて、今日はどこへ行くのでしょうか?







たどりついたのは、とある洋館・・・



こちらが玄関。


それではお邪魔してみましょう。
「こんにちは〜 ! ブロンズ新社です」






通されたのは・・・・
おしゃれなお部屋。





右を見ても





左を見ても



隙なくおしゃれです ! !

まるで、外国のインテリア雑誌のように美しい・・・



低く弦楽器の二重奏が流れています。


窓からは、心地よい風がはいってきます。


ああ・・・このままここで和んでいたい(遠い目)。



















と、そこにはあらわれたのは・・



「こんにちは、森のくまさんです」


・・・・では、ありません。
(かなり似てますけどね・・・)

このお方は・・・


なかなか普通に写真を撮らせてくださらない
シャイで、だじゃれが大好きな巨匠、
装丁家の坂川栄治さんです。

今日、私は新刊絵本の色校正を見ていただきに
坂川事務所へやってきたのでした。


変な顔はお休みしてしばしまじめにお仕事・・・




装丁家とは、本のデザインをしてくださる方。
ブロンズ新社の本の多くは、
坂川栄治さんがデザインしてくださっているのです。

本の表紙は、いわば顔。
本屋さんに並んでいるとき、
お客様に手にとってもらえるかどうかは
本の表紙にかかっているのです。


「私を読んだらきっと楽しいよ ! 」


たくさんの本の中から、読者にむかって
声にならない声を投げかけるために
カバーや帯をデザインしてくださるのが装丁家です。
責任は重大・・・

なんてったって本たちは、読者の方と
ひと目で恋に落ちなくちゃならないのですから・・・




ブロンズ新社の本の中では、


この本や

この本や

この本も

みーーんな坂川さんのデザインです。


いかがですか ?

シンプルだけど、目にとびこんでくる
おしゃれだけど、澄ましすぎていない
すっきりときもちのよいデザインです。


余談ではありますが
私が一緒にお仕事させていただくなかで、
うならされたのは、この本・・・

イラストも写真もない、
予算の関係で印刷はカラーではなく、2色刷り、
素材は文字だけ・・・・

という条件でしたが、
こんなに美しい本にしあげてくださった。
デザインってすごいなぁ・・・と
しみじみ思った本でした。


最近デザインされた本だけで・・・

ずらり、こんなにたくさん。


そんな坂川さんと、ながきに渡り仕事をしてきた
我が社の社長は、坂川さんを
ブロンズ新社のかかりつけ医」と表現しています。

本の装丁を考えるときには
まず坂川さんのところへお邪魔します。
カバーや扉のイラストはどんなものがいいか、
紙やカバーの加工はどんなものにするか
相談しながら本の顔づくりがはじまるのです。

最初からずっと関わる編集担当は
しばしば、担当する本にたいして
客観的な見方ができなくなることがあります。
そんな時、からんだ糸をほぐすように
明快に整理してくださるのも、坂川さんなんです。



さて今回は、
すでにデザインが終わって、
印刷所でためし刷りにしたもの(色校正といいます)を
チェックしていただきにきたのです。


今回の新刊はこちら・・・

新シリーズ「ミルとチムニー」です。

これは一般的に表紙と言われる「表1」




こちらは裏表紙と言われる「表4」



そしてこの開いた部分が「見返し」といいます。
今回は見返しも美しいカラーのイラスト !



こちらは1ページ目の「本扉」


ここまでを坂川さんが
デザインしてくださいました。
本のデザインの範囲は本によっていろいろ。
中のページまですべてデザインする場合もあります。
みなさんも素敵なデザインの本を見つけたら
ちらりとデザイナーさんの名前をチェックしてみてくださいね。


さてさて、新刊のこの絵本
美しく描かれた野の花と自然、
そしてその中を生き生きとはねまわる
ユーモラスな、ねことねずみのおはなし。
美しい水彩画は、一見、端正な正当派に見えますが・・・・



中身は元気でとってもチャーミング。
めくりの効果も楽しい、読み聞かせにもぴったりの
1冊となっております。
本屋さんで見かけましたら、ぜひ !  
友達からで結構です・・・仲良くしてやってください。
(宣伝失礼しました)




実際の原画と印刷物を見比べて、
「う〜〜〜む」


「ちょっと全体的に、赤っぽいかなぁ・・・
赤いタイトルが馴染んで目立たないから、
色味と濃さを少し調整しようか」
・・・なんて具合に
サササッと赤いペンで
書きこみをしてくださいました。
これを印刷所に戻すと
印刷所でまた、色味を調整をしてくれるのです。



「えーと、見返しは裏白ね・・ウラジロストクね」


ハイ ! 
ついに・・・、い、いただきました〜 !


1打合せ・1ダジャレがモットー ? の坂川さん。
本日は、
「裏白(裏を印刷しないこと)」と
ウラジオストク(ロシアの極東に位置する都市)」
をかけたダジャレをちょうだいいたしました !

ハッ・・・
ダジャレを説明してしまうほど
無粋なことはありませんね。
失礼いたしました。


仕事を終えるとしばし雑談。
「今日は、ぜんぜん寝てないから眠いんだよね」
話を聞けば坂川さん、そのころ夜中に中継されていた
世界陸上を連日見ていたため
慢性的な寝不足におちいっていたのです。
「でもね、昨日はすごく面白かったんだよね。
1位の女王を追う、2位のヒール役の女の子が
ちょっと面白くて・・・・」
こんな風に
最近気になったことや見た映画や展示のことなど
毎回いろいろ話してくださいます。
坂川さんはネタの宝庫。
勉強になるし、なによりとても面白いのです。
どんな話かって・・?


ふふふふ・・・

そんな坂川さんの雑談を
楽しめるブログがあるんですよー。
なんて便利な世の中でしょうね。
こちらです。



こちらはデザイン室。

無駄なものがなくすっきりしています。



こんなところまで、さりげなくおしゃれ。




坂川さんはインテリア好きが高じて、
内装のお仕事もなさっています。
実は、ブロンズ新社のオフィスも
インテリアは坂川さんにお願いしているのですよ。
坂川事務所のウェブサイトに
坂川さんによるブロンズ新社のインテリアが紹介されているので
ご興味のある方は、
こちらをどうぞ。




帰りは必ず、坂川さんが
玄関まで送ってくださいます。
いつもは「またね ! 」
・・・なんですけど

今回は



「おつかれさまでございました」
・・・・と一礼 ! !

いつも茶目っ気たっぷりの坂川さん。
疲れたアラフォー編集者に
憩いのひとときをありがとうございました。。。



お邪魔した後は、不思議と足取りも軽くなり
鼻歌なんか歌いながら、
広尾駅への坂をくだっていく私がいるでした。