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「親とはなにか」親が離婚しちゃったんだ…

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”子どもにとって必要なのは「母親」「父親」そのものではないと思います。社会に出るための準備段階で、手助けしてくれる人、相談にのってくれる人、見守ってくれる人、つまりいざというときにたよりになる大人が必要です。”

 「いざというときにたよりになる大人の存在」。五味さんのこの言葉は、私が絵本をつくるときに、いつも根っこにある思いだ。
 コロナ状態のいま、家にいて親の暴力におびえている子どもたちがたくさんいることが浮き彫りになっているが、私は虐待のニュースがいちばん辛い。親に愛されなかった、自分を大切に思ってくれる大人が誰ひとり周りにいなかったとしたら、子どもはどうやって生きる喜びを感じることができるのでしょう。
 では、親の離婚はいけないか。五味さんはそういうことを言っているのではない。いろんな理由で離婚はある。子どもが親の所有物ではないように、親が離婚したからといって子どもが不幸になる必要もないということだ。ここでは、子どもも親もひとりの人間としてすっくと立っている。

”もし、両親が別れてゆくことに対して、あなたがなるほどと感じ、ある納得、理解をできたとしたら、そのふたりはあなたにとって意味のある、価値のある大人として思います。「親子」よりもう少し進んだ人間関係を持てる可能性があります。”

 という言葉が、すとんと腑に落ちた。
 会わない時間に「いま何してるだろうか」と考えたりする人。窮地にたたされたときには大事なことを伝えてくれる人。いつも一緒には居られないが、そういう大人こそ「いざというときにたよりになる大人」なのだ。そして、そんな「ほんとうに必要な人」を見つけだす嗅覚こそが、この本のテーマである「かしこい体」だろう。この視点は、親子についてだけでなく、友だちとの関係性、すべての人と人との関係性についても示唆をくれるものだと思うのです。
(編集部 佐川)

 

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『じょうぶな頭とかしこい体になるために』

A5変形判 192ページ 上製 定価=1400円+税

https://www.bronze.co.jp/books/9784893093950/