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絵本『ケチャップマン』発売記念 鈴木のりたけさん特別インタビュー!<第1回>

★第1回★
「じぶんの居場所」をさがす、
すべての人に贈る絵本『ケチャップマン』待望の復刊!

鈴木のりたけさんの代表作といえば、「しごとば」シリーズ。
迫力ある見開きページと、細部にまで遊び心がちりばめられた絵本。
子どもから大人まで、たくさんの人に楽しまれています。
そんな、のりたけさんのデビュー作は、『しごとば』ではなく、
実は『ケチャップマン』(2008年初版/文芸社ビジュアルアート)。
長らく絶版になっていたこの作品が、2015年11月、加筆・修正をして、待望の復刊となりました!
のりたけさんの絵本作家としての原点がつまったこの作品について、お話を伺いました。


まずは、絵本『ケチャップマン』をご紹介しましょう。

彼の名前は、ケチャップマン。押せば出てくる、真っ赤なケチャップ。
自分にしかできない何かをさがして、毎日なやむケチャップマン。
ふらりと入ったポテトフライの専門店で、なぜだかそのままアルバイト。
ひたすらポテトを揚げる日々…ある日突然、トメイト博士があらわれた!


ーーできたてほやほやの『ケチャップマン』を手にした、今のお気持ちをどうぞ。
鈴木のりたけさん(以下:のりたけ) できあがりを見て、「輝きが全然ちがうな」と思いました。
今回、絵本の判型にあわせて原画を描き足したり、
編集・デザインにもあらためてしっかり力を注いでいただいたおかげでしょうかね。
8年前に描いていたときの気もちがよみがえってきて、うるっと・・・まではこないけど(笑)、
「なんだかすごいなあ、人生って」と思いました。


ーー8年前のどんな気もちを思い出したのですか?
のりたけ グラフィックデザイナーとして、すごく忙しく働いていた時だったので、
「明日はどっちだ?」と追いつめられていました。
精神的なプレッシャーで、歯が抜ける夢を見たりしていましたね。
そこから思うと、ずいぶん遠くにやってきた、という感じです。


鈴木のりたけさんは、大学卒業後にJR東海に入社。新幹線運転士や車掌、駅員などの仕事を経験します。
その後転職され、2001年にグラフィックデザイナーとして、広告制作プロダクションでの
勤務をスタートします。絵本『ケチャップマン』は、デザイナー時代の2006年ごろに描かれました。


ーーのりたけさんが絵を描きはじめたきっかけを教えてください。
のりたけ きっかけは、デザインの仕事でつくる“ラフ”なんです。
広告用の写真撮影で、カメラマンにアングルを伝えるために、簡単な手描きラフをつくるんです。
ふつうは線画でぱーっと描くんだけど、僕は周りから「描き過ぎだよ」と言われるくらい、
かなり写実的に描いていました。それを見た先輩から「お前、絵がうまいから、本気でやってみたら?」と
言われたのをきっかけに、アクリル絵の具を買って、自分の時間で描きだしたのがはじまりかな。


ーー『ケチャップマン』は、デザイナーとして働きながら描かれた作品ですが、
  当時から「絵を描きたい!」という衝動のようなものがあったのですか?
のりたけ デザイナーを5年くらいやっていて、おもしろくなってきた時期でもあったので、
今後もデザインで生きていくことも考えていました。
でも広告は、つくったらすぐ世に出て、また次のものに取って代わるような、
新陳代謝の早い業界なので、一生懸命つくっても残っていかないさみしさがありました。
手触りのある、自分の名前が残るような仕事に飢えていたので、
「端から端まで筆一本で描いて、生き様をそこにしみつけたい!」と思っていました。
そういう気もちが絵を描くことへ向かわせて、仕事とは関係ないところで、ずっと描いていましたね。



つづきます!
(広報・まつや)