石津さんからテキストをうけとった岡田さんは、
ともに経験したハロウィンの取材風景からイマジネーションをひろげ、
絵本の絵を描きはじめました。
今回はそれぞれの絵を
「1枚の絵としても飾りたくなるような美しい作品になること」
と意識して、絵を描きたいと岡田千晶さんは考え、
構図や画面作りに時間をかけられました。
そして、もうひとつ心がけたのが
子どもたちの表現が、生き生きしていること。
ゆたかな表情や体の動きで
ドキドキわくわくする子どもたちを表せるよう
こちらも試行錯誤をつづけました。
衣装の検討も話し合いを重ねて
取材の中でであった、いろいろな子どもたちから
ヒントを得て、決めていきました。
【光と影を浮かび上がらせる方法】
岡田さんの絵の光と影は
どのように生まれているのでしょうか。
実はとても独特の方法で描かれているんです。
ラフから作画完成までを駆け足で見てみましょう。
こちらは最初のミニラフ。
このようなコマ割りの状態で、絵本の流れを作っていきます。
全体の流れが決まったら、各ページの構図をラフを描きながら固めます。
構図が決まったら、本番の絵の下絵に入ります。
ここからが岡田さん独自の手法です。
この「下絵」をスキャンして、ここからはパソコンで作業。
版画で作ったテクスチャーをパソコン上で下絵にかさね、
光があたっている部分を削り出すように白く抜いていきます。
この段階の画像を、精度の高いプリンターで水彩紙に出力します。
出力した絵に、色鉛筆で色付けをしていきます。
鉛筆で影や面の質感を描き重ねると…原画の完成。
こうして美しい世界が、生み出されるのです。
しあがった絵を、おはなし作家の石津さんに見ていただき
この段階でまた、丁寧にテキストを推敲してくださいました。
さいご、絵とぴったり寄り添うようなテキストができあがり、
作品の完成です!
そのあと、デザイナー、印刷・製本所のみなさんの手を経て
やっとやっと、1冊の絵本として、この世に誕生したのでした。
【絵本原画展が開かれています】
そして、なんと幸運なことに…
この絵を間近に見られる原画展が、いま開かれているのですよ。
岡田千晶絵本原画展「静かに扉をひらくとき」
会期:2020年9月26日(土)~11月3日(火・祝)*10月26日、27日休み
時間:10:00~18:00
会場:調布市文化会館たづくり1階展示室(東京都調布市小島町2-33-1)
入場料:無料
問い合わせ:042-441-6150
入場無料で会期は11/3まで。
『まほうのハッピーハロウィン』のあのシーンを
メインビジュアルに採用していただきました。
印刷製本して本のかたちになったものが
絵本の完成形。
まずは絵本を楽しんでいただいて、
気になった方はぜひ、素晴らしい原画に出会いに
おでかけくださいませ。