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五味太郎著『じょうぶな頭とかしこい体になるために』 学校には行かなくちゃいけないの? 義務教育について考える

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 学校がこんなに長く休みになったことはありません。いっそ9月新学期にしてはという意見まで出てくるくらいです。世の中が揺れているこういうときこそ、当たり前だと思っていることを考えてみる「チャンスだぞ」と五味さんは言います。

 「義務教育なんだから、学校には行かなくちゃ…」と言われてきました。子どもには学校に行く義務がある、と思っている人は多いでしょう。でも、義務教育って、一体誰の義務なんでしょう。

 

憲法第二十六条

すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、等しく教育を受ける権利を有する。

②すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

 

「負ふ」という古い表現の通り、義務教育という言葉は、今からおよそ130年前、学校令ができたときに誕生したそうです。子どもが労働力だった時代に、保護者は本人が望むならば、教育を受けさせる「義務を負ふ」のです。子どもに通学しないように強制した場合、10万円以下の罰金が課せられます。

 一方、子どもが自由意志で欠席するのは、本人・保護者ともなんら罰則は課せられません。

 なんと、学校へ行きたくないとき、子どもが無理して行かなければならないとは、憲法には書かれていないのです。

 

 五味さんはさらに言及します。

「きちんとした理由があれば、辛いこと苦しいこと、やりたくないことなど、拒否することができます。ごまかす必要はありません。ぼく自身もそうでしたが、現在ぼくのまわりにもしっかりと計画を立てて『学校もある生活』を楽しんでいる人がけっこういます(もちろん子どもです)」

 子どもには選択の自由があるから、行きたくない場合は、担任の先生や校長先生、話のわかる大人に、なぜ行きたくないかの理由をきちんと伝えておくことは大切。それは、子どもである「あなたの義務です」と、五味さんはつけ加えています。

 

(若)

 

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『じょうぶな頭とかしこい体になるために』

A5変形判 192ページ 上製 定価=1400円+税

https://www.bronze.co.jp/books/9784893093950/