ブロンズ新社公式ブログ

絵本やイベント情報についてご紹介します。

青山ブックセンター六本木店があったから、六本木に引っ越した

「朝までやっている本屋がオープンした ! 」と聞いて、
迷わず六本木で住まいさがしをはじめた。
さいわい、ABC六本木店から歩いて7分くらいのところに1LDKの部屋を見つけた。
南青山の小さなプロダクションで仕事をしていて、広告の仕事をしながら、
フランスのドキュメンタリー映画の配給上映をしたり、
W・サローヤンの2冊の小説を、岸田今日子さん、伊丹十三さんに翻訳してもらい、
知り合いの版元を発売元にして、初の単行本を出版した頃だった。
その日のうちに帰宅できる日は少なく、それでも帰ってシャワーを浴びてから、
歩いて本屋に出かけられるなんて……それは夢のような至福の生活だった。
六本木交差点近くの俳優座は、夜10時から「シネマテン」という映画館になり、
続いて、WAVEがオープンして、地下にはミニシアターのシネ・ヴィヴァンが2館できて、
好きな映画がいつでも深夜に観られるようになった。
霞町への坂の途中、ガラス屋さんのビルの地下には、
うんと先輩格のオンシアター自由劇場があった。
眠らない街六本木は、いつも鼓動が高めになるスポットがたくさんあった。
これからの人生、映画の配給会社としての仕事をするか、それとも出版社を始めるのか、
妄想にひたっていたその3年後に、ブロンズ新社を立ち上げることになる。


六本木に住んだ12年間、毎日のように通った本屋さんでした。お世話になりました。



若月眞知子