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新作絵本『りんごとけんだま』進行中です。 鈴木康広さん新作絵本制作ブログ:その1

歩くだけでエネルギーが吸い取られるような、
あついあつい、日本の夏がやってきましたね。

さて、現在わたしは、今をときめく人気作家さんたちの絵本を、
9月刊行、10月刊行、11月刊行と、たてつづけに編集中です。
こんな幸福な機会もそうはないでしょうし、
それぞれにラフ(絵本の構成、下書きのようなもの)も、
大枠固まってきましたので、
これから、それぞれの絵本の刊行までのあいだ、
制作の現場を、ちょっとずつご紹介してゆこうと思います。

9月に絵本が刊行予定の作家さんは、
現代アーティストの鈴木康広さん。
昨年刊行され、順調に版を重ねている人気の絵本
ぼくのにゃんた』につづく、
2作目の絵本は……こちらです!



書店さんにお配りしている新刊ちらしより。


鈴木康広さんの新しい絵本『りんごとけんだま』は、
りんごとけんだまの関係を通して、ものの見方や発想が、
広い世界へ限りなくつながっていく、
科学のようにも、哲学のようにも、文学のようにも思える、
とてもすてきな絵本です。
鈴木康広さんのつくるアート作品を見ていると、
ぱっと思考が切り替わるような新鮮な感覚が味わえるのですが、
そんな作品をつくられる、アーティスト鈴木康広さんの、
頭のなかや、創作の秘密が垣間見えるような1冊です。


今回の本の装丁、アートディレクションを手がけてくださるのは、
菊地敦己さん。
数多くの優れたデザインを生み出す、菊地さん、
書籍や展覧会図録の構成のお仕事も手がけられていて、
今回の絵本についても、一歩引いた冷静な立場から、
理知的な意見を下さいました。



菊地さんと鈴木さん。1冊の絵本の流れを通しで見て、再構成中。


みんなの意見を取りこんで、よい絵本が、さらによい絵本に
進化していく過程はほんとうに、わくわくします。
いい方向に変化してくのは、たのしくて、気持ちがよい。



つづいて色彩設計中。絵本の中で語られるエピソードを分類して、
色を検討していきます。


本づくりにおいて、装丁家やデザイナーさんは、
あたらしい風を吹き込んでくれる、神さまのような存在です。
刊行が見えてきて、スケジュールのプレッシャーに追われ、
色々な意味で、なにかと息切れしがちなこの時期……。
デザイナーさんから、目が覚めるような、
かっこいいデザインラフや装丁があがってくると、
作家も編集者も一気に息を吹き返し、
本が商品として書店さんに並ぶことが現実味を帯びてきて、
俄然やる気が出てきます。


気持ちを奮い立たせてくれる援軍は、あちらこちらに存在します。
たとえばこの時期、営業部は、販促物の提案や、
書店の店頭展開のプランをあげてきてくれます。


本の特性や著者の魅力をどうしたら伝えられるか、
みんなが丁寧に考えてくれていて、
こういうのは、担当編集者的には、涙が出そうにうれしく、
力をもらえるものです。


営業部があげてくれた販促案。すてきー。


そうこうするうちに、7月22日からは、
鈴木康広さんが参加される、
REBORN ART FESTIVAL2017 がはじまります。
8月5日からは、箱根彫刻の森美術館で、鈴木康広展もスタート。


まさに、多忙を極める日々のなかで、
『りんごとけんだま』の編集作業は進んでいるのですが、
現段階ですでに、名作絵本の風格を感じさせる1冊ですので、
気を引き締めて、ていねいに、しっかり、つくりあげていきたいと思います。


そんなわたしの目下の夢は、
無事に本ができて、肩の荷がすっかりおりた状態で、
箱根彫刻の森の「鈴木康広展」に、子どもと一緒に遊びにいくこと。
鈴木さんの作品は、子どもと鑑賞してもたのしめるものばかりですからね。
ということで、いまはひたすら、
『りんごとけんだま』の編集作業にはげみたいと思います。


みなさまどうぞ、鈴木康広さんのすてきな新刊絵本を、
たのしみにお待ちくださいね。



(編集部・沖本)