鈴木さんの研究室がある東大先端科学技術研究センター。真夏の空。
春にはじまったにゃんた企画、台割をもとに、
使用する絵の取捨選択、本を通して伝えるテーマ設定、
おはなしづくりと、順調に進み、夏を迎えました。
にゃんたの可愛さだけで突っ走るのではなく、
鈴木さんがこだわられたのは「この絵本を通じて何を伝えるのか」。
しっかりと、テーマを通していただき、
本に一本筋が通り、骨格がはっきりしてきました。
なんべんかのやりとりの末、ラフが確定し、
彩色プランをデザイナーチーム交えてみんなで話し合います。
今回は通常のプロセス4色分解ではなく、
線画と、にゃんたのオレンジ版、背景の水色版を描き分け、
特色3色をつかって印刷する方法に決まりました。
時間をかけてイメージに近いカラーチップを選びます。
ありそうで、なかなかない理想の色。
チームにゃんたのデザイナー陣。中面レイアウト担当の渡部さんと、
装丁を担当した社内デザイナーの伊藤。
決まったのは、パントーンカラーの淡いオレンジと淡い水色、それからスミの3色。
オレンジと水色は、大地と空の色として、鈴木作品によく登場する象徴的な色です。
ちょっとした色の違いが、本の雰囲気をがらりと左右します。
色はほんとうに大切。
色版ごとに、原画を描き分けていただき、データ上で重ねていきます。
一枚絵を描くのではなく、実際にデータ上で重ねてみないと
仕上がりがわからないのが特色3色刷り。
レイヤーを重ねた時の仕上がりを想像しながら、
色バランス、タッチや濃度を調整して描いていただきました。
にゃんたの原画描きは、ロンドン・デザイン・ビエンナーレの制作と、
大学でのお仕事、イベントなど、多忙を極める
凄まじいスケジュールの中で、進めていただきました。
そんな状況下でも、様々な画材やタッチで、
何パターンもの原画を描いて下さった鈴木さん。
描き直しも、納得いくまで何度も描いて下さいました。
レイアウト校を細部に渡って確認する鈴木さん。細かな調整を繰り返します。
その甲斐あって、『ぼくのにゃんた』、
それはそれは、やさしく、可愛らしい仕上がりです。
早くみなさまにお見せしたいです。
(編集部・沖本)