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「ぼくのニセモノ」デザイン担当日記(その3)

こんにちは。
『ぼくのニセモノをつくるには』で
彩色とレイアウトを担当した伊藤です。
最終回は、テクスチャーについてのお話です。
(第1回目→Click! 第2回目→Click!


読者の方の意識にはあまりのぼらないと思いますが、
「りんご」と「ニセモノ」には、ざらざらしたかすれや、ストライプやドットなど、
いろいろな質感や模様をさりげなく貼りこんでいます。


ヨシタケさんからいただいた線画を
パソコンで色づけしていくわけですが…
(↓こちらが「ニセモノ」の実際の制作画面)

パソコンを使うと、均一的できれいな仕上がりになるものの、
ペタっとしてあたたかみに欠けたり、単調になってしまったりしがちです。
それを避けるための工夫が、テクスチャー(素材感)を貼りこむことなのです。





テクスチャーがあることで、イラストの意味により忠実な色づけができます。


ただ、はじめの頃は、ここまで絵に手を加えるような色づけをしてしまって
本当によいのだろうか?とも思いました。
ヨシタケさんに快くご了解いただけたので、
いろいろなページに、イラストを邪魔しない範囲内で使っています。


さて、どんなテクスチャーが実際に使われているかというと…



【鉛筆と画用紙】
ニュアンスがほしいな、と思っている部分を鉛筆で塗って
パソコン上で色を変えて使っています。
中央は、「ニセモノ」の表紙に使ったテクスチャー。
枠に奥行きをもたせるための一工夫。



【スタンプパッド】
営業部で酷使された、かすれ気味なスタンプパッド。
これを画用紙にそのままペタペタと押して、スキャンしたものを使用しています。
先ほどの火山のイラストに使用しているのもこれ。
かすれ具合が絶妙で、いたるところで大活躍してくれています。



スクリーントーン
もともと漫画家さんが使う道具。
神保町で大安売りしていたものをゲット。
ドットやストライプなど、シンプルな模様を選びました。
模様はパソコンでも簡単に作れるのですが、
少し雰囲気が違うのでスクリーントーンをスキャンして使っています。


他に、古い紙を加工したり、万年筆やマジックなども使っています。
テクスチャーが最も多く使われているのが、『りんごかもしれない』のりんご兄弟のページです。





なくても成立するけれど、あると画面が豊かになるテクスチャーたち。
本を手にしたときに、「へ〜、これのことか〜」とちょっとだけ目にとめてもらえるとうれしいです。