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「ぼくのニセモノ」デザイン担当日記(その2)

こんにちは。
『ぼくのニセモノをつくるには』で
彩色とレイアウトを担当した伊藤です。


第2回目のデザイン担当日記、今回は3色印刷についてのお話です。
(第1回目はこちら→Click!


ちょっと専門的なお話になってしまいますが、
通常の印刷物は、CMYKと呼ばれる4色のインクで印刷されていることをご存知でしょうか。

この4つのインクを割合を変えながら混ぜることで、様々な色を表現できるのです。

絵の具と同じですね。
たくさんの色を表現できるので、多くの絵本がCMYKの4色で印刷されています。


さて、気づいた方がどのくらいいるのかはわかりませんが…
実は、『りんごかもしれない』と『ぼくのニセモノをつくるには』は
3色で印刷されています。


編集担当の沖本は、シリーズ第1作目の「りんご」を制作するときに、
CMYKでなはく、あえて色数をしぼってみようとしていました。
ヨシタケさんの線画は、カラフルに飾り立てるよりも
シンプルな色づけの方が似合うと考えていたのです。


では、どのように3色を選ぶか。
ヨシタケさんのイラストをお借りして、思考の流れを再現。


まず、1色目。
りんごがテーマの本なので、やっぱり赤は必要です。

次は、2色目。文字と輪廓線の色を決めます。
ある程度濃い色でないと、文字は読みにくく感じます。
黒と焦茶が候補にあがりました。

黒と赤はシャープな感じですが、ちょっと暗い印象にもなります。
それに比べると、焦げ茶はやわらかくて優しげな雰囲気。
木の幹や地面の色などにも違和感なく使えて便利そう。
というわけで、2色目は焦茶で決定。


最後に3色目。けんたくんの服の色を考えてみました。
りんごを手にもったときに、相性のよい色にしたいと思ったのです。

こうして、自然に3色が決まりました。

「ニセモノ」では、「りんご」とのシリーズらしさを演出するために黄色と焦茶はそのまま。
植物が多く登場するので、赤のかわりに緑を使って3色にしています。


たかが色。されど色。
絵本の印象が大きく変わってしまう、大事な決断なのでした。