ブロンズ新社公式ブログ

絵本やイベント情報についてご紹介します。

『おじいちゃんのふね』新刊インタビュー<1>

前回『ペンギンきょうだい ふねのたび』に続いて、
ふねの絵本登場! ひがしちからさんの作品です。
新刊インタビュー、スタートです!


【広報】『おじいちゃんのふね』の紹介をお願いします。
【編集T】
かんたくんはおじいちゃんが大好き。
休みの日にはおじいちゃんの家に行って、船に乗るのがなによりの楽しみでした。
ところがある日、大きな台風がやってきて、おじいちゃんの船が壊われてしまったのです。
その日からすっかり元気をなくしたおじいちゃんのために、
かんた君は船をなおそうと決意するというお話。
かんた少年の成長と、おじいちゃんへの深い愛情を描いた物語です。


【広報】ブロンズ新社からは、ひがしちからさんは初めての絵本ですが、
企画はどうやってたちあがったのですか?

【編集T】
私は『ぼくのかえりみち』(BL出版)が大好きで、
いつか絵本をお願いしたい…と思ってました。
子どもたちの気持ちを描くのがうまいし、
絵のアングルも大胆で、いつも驚かされるてました。


MOEの絵本屋さん大賞で入選されたのをきっかけに、会いにいきました。
2009年末だったと思います。
その時、「ふね」をテーマに絵本を描いてみたいと思っている、
とうかがって、話をつめていきました。

(c)Chikara Higashi


【広報】ひがしさんはどんな作家さんですか?
【編集T】
物静かな方ですね。いつもじっくり考えながら、お話されます。
「ひがしちから」さんというのは本名で、
名刺には大きな文字で「東 力」と書いてあって迫力ですが、
ご本人は、ずっとマイルドです。
絵画教室の先生もされていて、子どもたちとふれあう機会もたくさん。
そんなふれあいの中から、絵本はうみだされています。


【広報】私は、秋のシーンの色合いがとても好きですが、
Tさんのお気に入りのページはありますか?

【編集T】
私は、船がなおって、船の上という特等席に乗ったかんたくんが、
町を走るシーンが好きです。このシーンは最初から、ひがしさんの頭の中にあって、
この絵本のクライマックス。
かんたくんのガッツポーズに彼の晴れがましい気持ちがよくあらわれていると思います。


ひがしさんは、四季折々、おじいちゃんとかんたくんが船の上で楽しむシーンがお気に入りで、
もっとページをさいていろいろなシーンを入れたかったな…とおっしゃっていました。

【広報】制作中のおもしろいエピソードをひとつ教えてください。
【編集T】
編集部に来てくれているインターンのM君には、ゲラの段階で読んでもらいました。
読み終わっると彼は「この言葉は絶対にいらないですよ」と、
すごい剣幕で私に話しかけてきました。


その指摘部分は「船の上の特等席に座って、町を走るシーン」。
当初は「かんたくんは、はずかしそうにいいました。ふねが なおったんだよ〜」という文章だったのですが、
Mくんは「かんたくんは、全〜然恥ずかしくなんかないですよ!
かんたくんは、自慢ですよ。恥ずかしそうにって言葉は、
絶対にとった方がいいと思いますっ!」と。
19才の青年が、幼いかんたくんになりきって気持ちを重ねてくれた嬉しい出来事でした。
確かにそうだね、ということで、ここの文章は
「かんたくんは おおごえで さけびました。ふねが〜」と変更されることになりました。



<2>へつづきます!