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絵本やイベント情報についてご紹介します。

原マスミ『幸福の王子』ミニトーク&サイン会

ゴールデンウィークまっただ中の、5月1日。
会場は青山ブックセンター本店。
お天気にも恵まれ、会場は満席のにぎわいです。


イベントは、著者の原マスミさんと『幸福の王子』の編集を担当した、
当社編集長とのミニトークから始まりました。





幸福の王子』が完成するまでには、
実に3年以上の歳月がかかっているそうです。
2007年に原さんが目黒美術館で開催した、個展“原マスミ大全集!”の特集が、
雑誌「イラストレーション」で掲載されました。
その特集の中に、「今後積極的にやりたいのは、絵本かな。(中略)自分のテキストじゃなくて、
古典のお話に絵をつけてみたいですね。」という言葉があり、
それを目にした編集長自ら、
「原さんの絵は、人間の悲しみを表現していると感じたので、
ぜひ<悲しい物語>に絵をつけてもらおう!」と思い、アプローチしたのだそうです。


「絵本の中に登場する、王子とツバメのキャラクターは、
他のどの作品よりも個性的。
どういうイメージ、キャラクター設定ですか?」という編集長からの質問には、
「今までの王子さまは、みんなどこか“生徒会長っぽい”気がしていたので、
すこし品位を下げました。ツバメは、ちょっとバカっぽく軽薄な感じ。
自分(原さん自身)にないものをもっている、というイメージです。笑。」と、
冗談をまじえて答えてくれ、会場を沸かせてくれました。
たしかに、王子の強引さや、ツバメが“べらんめえ口調”でおしゃべりする様子は、
原マスミの描く『幸福の王子』ならではの魅力のひとつです。


今回は、“抄訳(しょうやく)”にも挑戦した原さんは、
「最初は抄訳ってことばすら知らなかった。」そう。抄訳とは、物語をそのまま全訳するのではなく、
全体のストーリーをわかりやすくまとめることです。
英語の原文を日本語に訳した“下訳(したやく)”をもとに文章を構成。
見開きページの、どの部分にどれくらい文字が入れられるか、
ということを事前に打合せ、そこに手書きで文字をうめていく、というやり方だったそうです。





次に、画材について。
幸福の王子』は、オイルパステルを使用。
以前使っていたことのある色えんぴつなどのかたくて粉っぽいものよりも、
やわらかい絵の具で、色を何度もかさねて塗りながら描いたそう。
ただ、色を重ねていくとどんどん変化していくので、
いつやめていいかわからなくて、いつまでもいつまでも描き続けていたのだそうです。
そこへ編集長が登場。「お願いします!」と、一枚ずつ原画を回収していきました。
ラフが完成してから2年の歳月を要して、『幸福の王子』が完成するのです。


「ぼくはシンガー・ソングライター。絵本は一年生。
まだまだのびしろがいっぱいあるんです。」と、またまた会場を沸かしてくれて、
今後も絵本の出版に意欲を見せていました。


ミニトークの後は、サイン会。
100人以上の参加者に、ひとりずつ丁寧にお話をしながら、
終始なごやかな雰囲気で進みました。
古くからのファンをはじめ、小さなお子さん、男女問わず、
たくさんの方たちに参加していただきました。ありがとうございました。






今後、新たな原画展の情報などがありましたら、またブログで紹介したいと思います。


好評発売中の絵本『幸福の王子』が、
続々とメディアで紹介されています!
産経新聞の読書面に書評が掲載されました。
記事→Click!